大味と思いきや意外とイケル(コマンドマガジン87号付録「バルバロッサ」プレイ)

 今回は、コマンドマガジン第87号付録の「バルバロッサ」のプレイ記録です。

ゲーム概要
 「バルバロッサ」は、1941年6月のバルバロッサ作戦から1945年4月までのドイツとソ連軍の戦いを対象としたキャンペーンゲームです。ユニットの規模は軍団/軍規模で、夏期間を1ヶ月、冬期間を2ヶ月のターンスケールで描いています(War for the Motherlandと同じ処理ですね)。

 このゲームで特徴的なことを箇条書きで書くと、

・ユニットはすべて1ステップ
・ZOCなし
・スタックは1へクスにたいして5ユニットまで。スタック制限は常時適用(追い越し時の一時的なスタック超過も認めていません)とかなり厳しめの制限となっています(バルジ戦のゲームならこの制限はよく見かけますけどね)。
・ターンシークエンスは、ドイツ軍プレイヤーターン-ソ連軍プレイヤーターンで、基本的にプレイヤーは、プレイヤーターン開始時に、移動-戦闘、戦闘-移動、戦闘-戦闘(条件あり)を選ぶ。
・移動力はターン記録トラックに記載されていて、ターンによって変動する。

ぐらいかな。あとは、細かいルールがいくつかありますが、上のルールを知っていればプレイできます。

 それと本作で一番特徴的なのが、戦闘結果表(CRT)でしょう。なんせ1-1の戦闘で、防御側退却(DR)が出る確率が2/3という、攻撃側に超有利な戦闘結果(笑)。7-1まで持っていけば無条件で防御側全滅です。

戦闘結果表とルールからゲームの流れを予想してみる
 戦闘結果表は攻撃側に有利な結果になっていると書きましたが、もうひとつ特徴があります。それは、1-1から6-1までの戦闘結果には、1/6の確率で相互損害(BB)がでるということです。本ゲームの相互損害は、「防御側全滅で、攻撃側は全滅した戦闘力(守備力)を攻撃側の戦闘力(攻撃力)で満たすまでステップロス」というもの。

 本ゲームはZOCがないため、戦線を張るためにはユニットを敷き詰める必要があります。そこでプレイする前に私は、次のようなゲームの流れを想像しました。

 初期のドイツ軍は戦力が充実しているため、各所で攻勢が取れるだろう。しかし、戦線の拡大や1/6で発生する相互損害によるユニットの減少により、各戦線のユニット密度は低下する。逆にソ連軍は増援や補充により、初期の損害を上回る戦力を得る。戦力を回復したソ連軍は、薄いドイツ軍の戦線を狙ってそこへ攻勢をかける。ドイツ軍は装甲部隊を持って対応するが、そのうち戦力をすりつぶして敗退していくだろう……

 ドイツ軍が勝つためには、ソ連軍が戦線を維持できないぐらいの損害を与え続けねばならない。つまり敵野戦軍の撃滅こそがドイツ軍勝利の鍵である。

 さて、この予想が当たっていますでしょうか?さっそくプレイに移りましょう。

第1ターン
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第1ターンは特別ルールにより両軍とも、戦闘-移動を選択しなければいけません。その他の特別ルールとして、

・ドイツ軍は湿地を平地として扱い、河川の効果も無視(1ターン目のみ。これもWar for the Motherlandと同じですね)。
・ドイツ軍は戦闘-移動を選択した場合、準備下攻撃(本ゲームではこれが戦闘にあたります)で右1シフト特典を得る(夏期ターン終了まで)
・ソ連軍は接敵しているユニットを必ず攻撃しなければならない(3ターンまで。都市にいるユニットおよび河川越しに接している場合は強制攻撃免除)

があります。

 攻撃箇所は画像を参照下さい。ドイツ軍の初期攻勢の基本的な考えは、準備下攻撃で穴を開ける→移動で包囲→強制攻撃でソ連軍は勝手に自滅、という狙いでいいと思います。

 ドイツ軍の目論見どおりソ連軍は包囲の中で勝手に自滅。ソ連軍は残ったユニットで戦線を張ります。

第2ターン
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 第2ターンはドイツ軍至福のターンです。移動力が10与えられ、思う存分機動攻撃が実施できます。薄いソ連軍戦線を機動攻撃でガリガリ削っていく様は、まさしくバターをナイフで切るがごとし。痛快この上ないです(笑)

 ソ連軍は我慢のしどころです。増援や補充は大量に来るので、ドイツ軍の攻勢に対応して配置していきましょう。とにかく戦線に穴を開けないように注意することが肝要だと感じました。

 ゲームの流れは、中央軍集団の装甲軍団がスモレンスク手前で南下し、キエフを包囲しました。

第3ターン
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 第3ターンのドイツ軍は「パウルス休息」を実施するかどうか選択しなければなりません。「パウルス休息」とは、このターン戦闘をしないかわりに(移動はできる)、第4ターン、5ターンに受ける罰則を受けなくていいというもの。

 「まあ、そんなに急がなくてもいいや。」と思い、ここで「パウルス休息」を取ることにしました。このターンは両軍とも戦線の整理、戦力の集中をはかりました。

第4ターン
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 満を持してドイツ軍は攻撃を開始する。ドイツ軍は戦闘-移動を選択。オデッサ、キエフ、そしてドニエプル・ペトロフスクまで陥落。各地で攻撃に成功してソ連軍戦線に穴を開ける。

 そして、移動によってさらに都市を占領していく。ここで第4ターンの勝利条件を満たしてしまう(23VP以上)。そして、ソ連軍のプレイヤーターンになっても奪回できず。ここでドイツ軍の勝利が確定しました。
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感想
 意外とあっさり勝負がついてしまいましたが、ルールにポイントの貸し借りによる延長ルールがあるので、こういう事態はある程度デザイナーにとって想定内のことだと思います。よって、これよりさらにプレイを進めることもできるのですが、時間の都合上ここで打ち止めにしました。

 たしかに大味なゲームと言えますが、初期の装甲軍団によるソ連軍蹂躙。そしてドイツ軍がいくらソ連軍を全滅させても、それ以上の増援と補充によってあっという間に戦線を構築してしまう恐ろしさを体験できるという点において、独ソ戦キャンペーンとしてはまずまずの出来ではないでしょうか?

 ルールと扱うユニットの少なさという利点があるので、「手軽に独ソ戦キャンペーンを体験してみたい」という方にはオススメできるゲームと言えます(多分)。

おまけ
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↑今回屠ったソ連軍ユニット
by sperling | 2011-09-18 19:58 | ウォーゲーム
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